
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの箭吹雅代です。
人生の節目で見直すことで強い家計を作る家計見直し相談を行っています。
さて、今日のテーマは「離婚したら年金はどうなる?離婚時の年金分割制度とは?」です。
年金制度は何だかややこしい、しかも離婚時の年金の話だとなかなか周囲にも相談しずらいけれど、分からないことも多いのではないでしょうか?
確かに分かりにくい制度ではありますが、しかし、離婚を考えるのであれば、年金分割については、知っておいた方がよいのではないでしょうか。
今日は、そんな年金分割制度のしくみについて解説していきたいと思います。
もくじ
年金分割とは?
年金分割とは、婚姻期間中、夫婦が支払ってきた年金保険料の金額に差があると、将来受け取る年金額にも差が出てしまいます。それでは、年金額が少ない方が困窮してしまうケースが多く見られたので、年金受給額の格差を調整する制度です。
しかし、ここで注意すべき点は、年金の全てが分割の対象となるわけではないこと、分割の割合は“最大2分の1”である点です。
さらに、年金の分割のしかたもケースバイケースで変わって来ます。
(詳しくは後述します。)
また、夫婦によっては対象とならないこともありますので、ご自身が年金分割の対象となるかどうか、以下の解説で確認してみてください。

年金のしくみについて
まずは、年金のしくみについて説明したいと思います。
「年金」と一言で言っても色々な種類があり、何がどう違うのか、イマイチ分かりにくいところがあります。
そもそも、年金には国が運営しているものだけでなく、民間の保険会社等が運営しているものもあり、それらの違いがはっきりしていなければ少々混乱するかもしれません。
まずは、年金の種類について、以下の図をご覧ください。

上記3種類の中で、年金分割の対象となってくるのは、「公的年金」のみです。
ですので、「公的年金」の仕組みについてもう少し詳しく解説します。
厚生年金は以下3つに分かれています。

第1号被保険者というのは、自営業や学生の方、第2号被保険者は会社員や公務員、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者となります。
年金分割の対象となる場合
さて、公的年金のなかで年金分割の対象となるのは、第2号被保険者が加入している「厚生年金」の婚姻期間中に加入していた部分のみです。
つまり、配偶者の年金のトータル金額を分割するわけではありません。
「国民年金」は原則全員加入なので、夫婦どちらも加入しているということになります。
ですので、「国民年金」の部分に夫婦間の不公平はないので、分割の対象となりません。
さらに年金分割の割合は“最大2分の1”となります。
必ず2分の1になるわけではなく“最大2分の1”です。
しかも、婚姻期間中に加入していた「厚生年金」部分のみが対象となりますので、婚姻期間が短いほど、対象となる年金部分は少なくなります。
ですので、思いのほか、分割される金額は多くないかもしれません。
ところで、年金分割は厚生年金部分が対象ですので、例えば夫婦ともに第1号被保険者の場合、年金分割はありません。
まとめると、
- 年金分割の対象となるのは、第2号被保険者が加入している「厚生年金」のみ
- 分割の対象となる期間は、婚姻期間中のみ
- 分割の割合は“最大2分の1”
ということになります。

年金分割のしかた
1.請求期間は2年以内
さて、年金分割ですが、いつでもできるわけではなく、離婚した日の翌日から起算して2年以内に請求しなければなりませんので、注意してください。
また、年金分割のしかたも2通りありますので、ご自身がどちらに当てはまるかあらかじめ確認しておくことをお勧めします。
2.年金分割のしかた
①2008年4月以降に結婚した夫婦で、どちらかが第3号被保険者である場合
・年金事務所で手続すれば完了
2008年4月以降に結婚し、どちらかが第3号被保険者である場合、年金事務所に行って手続すれば、年金が2分の1で分割されます。
この場合、第2号被保険者の側は拒否することはできません。
②2008年3月までに結婚した、もしくは共働き夫婦
・夫婦での合意が必要となる
片方が第3号被保険者であっても、2008年3月以前の厚生年金については、年金事務所で手続すれば完了とはいかず、夫婦で合意が必要となります。
他にも第1号被保険者と第2号被保険者の夫婦、療法第2号被保険者の夫婦は、例え2008年4月以降に結婚したとしても、合意が必要となります。
合意によって年金を分割する場合、年金事務所で「年金分割のための情報通知書」をもらい、夫婦で分割の割合に合意したら、「年金分割に関する合意書」を作成し、年金事務所で手続を行います。
こういったケースでは、分割の割合についても夫婦で合意すれば、必ずしも“2分の1”でなくてもOKです。
(ですので、“最大2分の1”とされています。)
万が一、合意がなされない場合は家庭裁判所での調停・審判・裁判などで分割の割合を決めることになります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
年金は少々複雑に見えるので、中々分かりにくい、見えにくい部分があります。
ですので、1つ1つ落ち着いて確認していくことが大事です。
いざというときに困らないためにも、どういった制度か知っておくといいのではないでしょうか。
人生は人それぞれであるように、家計もそれぞれです。
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