
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの箭吹雅代です。
人生の節目で見直すことで強い家計を作る家計見直し相談を行っています。
さて、今日のテーマは「遺された遺族、年金はどうする?~万が一のときに慌てないために知っておきたいお金のこと~」です。
困ったときこそ、役立つもの、それがお金の知識です。
遺族給付はその一つです。
知らなかった、こうしておけばよかったと、後で後悔したり、困ることがないように、今日は遺族給付について解説していきたいと思います。
もくじ
公的年金の遺族給付とは?
公的年金の加入者や、公的年金に加入していた人で要件を満たした人が死亡した場合、一定の条件のもと、遺族は「遺族給付」を受給することが出来ます。
公的年金には1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金がありますが、同様に遺族給付にも1階部分国民年金に相当する「遺族基礎年金」と、2階部分厚生年金に相当する「遺族厚生年金」があります。
この「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」は受給出来る条件等が異なります。
万が一に備えて、どのような条件の違いがあるのか、受給の対象になるのかを確認しておくと安心です。
それでは、それぞれの制度がどのようなものか、見ていきます。

遺族給付の種類と受給する遺族の要件
まずは、遺族給付の種類と受給する遺族の要件を見ていきます。
亡くなった方がどの年金に加入していたのか、加入者と遺族の関係などによって給付の内容が変わってきますので、まずは自身がどこに当てはまるのか確認してみてください。

遺族基礎年金を知る
1.加入者(亡くなった方)の要件
遺族基礎年金を受給するためには、加入者(亡くなった方)と受給者(遺族)の両方に要件があります。
加入者の要件が満たされていなかった場合は、例え、遺族に受給資格があったとしても給付されません。
加入者は以下の要件のいずれかに当てはまる場合、遺族が給付の対象となります。
①国民年金の被保険者である間に死亡したとき
②国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していたかたが亡くなったとき
③老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
④老齢基礎年金の受給資格期間25年を満たした方が死亡したとき
*受給資格期間は保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間の合計が25年以上
加入者はさらに保険料納付要件を満たす必要があります。
・上記加入者①・②の方:死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの被保険者期間に、国民年金の保険料納付済期間および免除期間、厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間の合計が3分の2以上あること
・2026年3月末までに死亡した場合、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい
何だかややこしいですが、簡単に言うと
国民年金の加入者がちゃんと保険料を納めていれば、遺族は遺族基礎年金を受け取れます。
ということです。
2.受給額(年額)
①子のいる配偶者
子1人:780,900+224,700=1,005,600円
子2人:780,900+224,700×2=1,230,300円
子3人:780,900+224,700×2+74,900=1,305,200円
*子3人目以降は1人につき74,900円加算
②子のみ(年額)
子1人:780,900円
子2人:780,900+224,700=1,005,600円
子3人:780,900+224,700+74,900=1,080,500円
*子3人目以降は1人につき74,900円加算

遺族厚生年金を知る
1.加入者(亡くなった方)の要件
遺族厚生年金にも加入者(亡くなった方)に要件があります。
加入者は以下の要件のいずれかに当てはまる場合、遺族が給付の対象となります。
①厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
②厚生年金保険の被保険者期間に初診日がある病気やケガが原因で、初診日から5年以内に死亡した時
③1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき
④老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
⑤老齢厚生年金の受給資格期間を満たした方が死亡したとき
*受給資格期間は保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間の合計が25年以上
加入者はさらに保険料納付要件を満たす必要があります。
・上記加入者①・②の方:被保険者中の死亡または被保険者中に初診日のある疾病で初診日から5年以内に死亡した場合は、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの被保険者期間に、国民年金の保険料納付済期間および免除期間、厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合期間の傍系が3分の2以上あること
・死亡日が2026年3月末までの場合は、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい
2.受給額(年額)
遺族厚生年金の受給額は若干複雑です。
■老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3
【計算に使う用語】
平均標準報酬月額①:2003年3月以前の標準報酬月額の総額を、2003年3月以前の加入期間で割った額
平均標準報酬月額②:2003年4月以降の標準報酬月額と、標準賞与額の総額を、2003年4月以降の加入期間で割った額
【計算方法】
遺族厚生年金額=A+B×3/4
A:平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
B:平均標準月額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
*老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したときは、7.125/1000と5.481/1000の部分の数値が変わります。
死亡した方の生年月日に応じて9.5/1000~7.125/1000・7.308/1000~5.481/1000となります。
*厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満で死亡した場合は、300月とみなして敬さんします。
他にも知っておきたい遺族への給付

さて、ここで上記表を見てみると、遺族基礎年金・遺族厚生年金の他にも遺族へ給付されるものがあることが分かります。それぞれ解説していきます。
1.寡婦年金
夫が第1号被保険者で、保険料納付済期間と保険料免除期間が合計10年以上ある場合、夫によって生計を維持され、かつ婚姻期間が10年以上の妻に支給されるものです。
妻が60歳~65歳の間受け取れます。
2.死亡一時金
死亡一時金は、遺族基礎年金を受給出来ない遺族に支給されるものです。
死亡日の前日において保険料納付期間が36月(3年)以上ある方が死亡したときに遺族が受け取れます。ただし、死亡者と生計を同一にしていた人が対象です。
また、死亡した方が生前、障害基礎年金・老齢基礎年金を受給していた場合は受給出来ません。
*上の「寡婦年金」と「死亡一時金」は両方受給することは出来ないため、どちらの受給要件も満たしている場合は、どちらか一方を選ぶこととなります。
3.中高齢寡婦加算
上記表には記載しておりませんが、もう一つ、中高齢寡婦加算というものがあります。
夫の死亡時に子供がいない、あるいは子供が既に18歳を超えている場合などは、遺族基礎年金を受給できません。
そこで、以下の条件を満たす妻には中高齢寡婦加算が支給されます。
- 死亡した夫が厚生年金保険に20年以上加入
- 夫の死亡時、妻の年齢が40歳以上65歳未満
(下の子が18歳に到達し、遺族基礎年金の受給資格を失ったときに40歳以上で会った場合も対象)
- 夫に生計を維持されていた
まとめ
いかがだったでしょうか。
年金というと、老後にもらうものだと思いがちですが、万が一のときに活用することも出来ます。こうした制度を知っておくことで、今後の人生においてどういった選択をするかも変わってくるかもしれません。
人生は人それぞれであるように、家計もそれぞれです。
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